2017年12月30日
坊津の正月行事

門松などは取り上げるほどの特徴はない。農村集落の鈩迫(タタラザコ)栗野上之坊の一部では門松を飾らない。鈩迫の場合、住み着いた時が年末で準備できなかったので、そのまま門松を飾らなくなったと伝えられている。
元旦の儀式には特徴はない。ただし料理になると、特に古い親方などは、過去の繁栄を偲ばせるものがあった。坊、森家の例では、
「三ごんさかずき」という三段の盃に、地酒、泡盛、焼酎の三種類の酒を注ぐ。
「のれわん」に、のれいも(里いも=八ツ頭の)を丸のまま入れ、こんにゃく、昆布をのせるーのれいもはほとんどの家庭で使われたー。これが第一の善である。
第二の善に、お雑煮、生米、生餅と少し焼いた餅を重ね、それに干し柿、するめ、昆布をのせたものを客に出す。その重ねられた餅は、持って帰らないのが坊地区の風習であったという。なお、久志地区では、二つ重ねられた餅の一つだけをもらって帰った。
さらに第三の善に、「とりざかな」と呼ばれるお節料理が出される。内容としては、刺し身、つけあげかまぼこ、こがやき、ちくわ(自家製)、数の子、でんがく、高野豆腐、氷ごんにゃく、めたけ、かわたけくじらのおば、などである。この品々は「とんだ」に飾られて床の間に置かれていた。
そして森家ではおよそ百人の客が来たという。もちろんこれは最高のものであるが、一般もこの「のれいも」、「お雑煮」、「とりざかな」の形は同様であった。なお久志地区には「はえざかな」と言う、「やいとがつお」を塩漬けにし、陰干ししたものを、欠かせない料理としているが、他地区で見られない特殊なものである。
この後に、七草祝い、鬼火、小正月、せんぞう.まんぞう、船祝いなどの行事が控えている。

Posted by のりP(顔は本人ではありません) at 17:00│Comments(0)